放電加工とは、電極と工作物の間に起こる放電によって材料を溶融・除去していく加工方法である。したがって、絶縁体または電気を通しにくい材料には利用できない。この手法は、通常の切削では困難な複雑な形状を加工したり、工作物に大きな外力を加えずに加工したい場合、または非常に硬くてバイトでは歯が立たない材料を加工するのに適している。しかし加工表面にクレータができるので表面が比較的粗いという短所も有する。特に型彫り加工の場合、電極形状がそのまま工作物に転写されるため、電極の製造コストも加工費用に大きな影響を与える。ワイヤ放電加工(ワイヤカット)は、電極に真鍮などのワイヤを電極として、工作物の方を水平面内に移動して任意の形状を切り出す加工である。したがって作られる形状は、型彫りが3次元曲面であるのに対して、ワイヤカットはワイヤ電極に垂直な面内の2次元自由曲線に限られる。


図 ワイヤ放電加工機の構造


図 型彫り放電加工機の構造


図 型彫り放電加工で作られる形状