従来型の万力は、図1のように、一定の形状の物体を固定するように設計されている。不定形の物体を固定するためには、特殊な形状のナックルを装着しなければならない。そのようなナックルの製作には、時間がかかり骨の折れる工程が必要になる。どうすればよいか。解としては、図2のように、ナックルを弾性体のボールで空間を埋めることで、あらゆる形状に適応でき、さらに余得としてクランプ力を均等に分布させることができる分布型の弾性体素子で置き換えてやればよい。(参考文献:実際の設計研究会編「TRIZ入門」日刊工業新聞社)


図 1.ナックルを万力で固定したい


図 2.弾性体のボールで空間を埋める

【思考演算の説明】
 本例では、物理的矛盾は、「ナックルは部品を挟むためには固くなければならない。それと同時に、部品の形状に応じて形状を変えるため柔軟でなければならない」である。 この矛盾を解決するために、システムとしてその構成要素を分離して考えることが有効である。