図に示すように、あと5分で貨物列車が発車するというのに、無蓋車の積み荷の丸太の直径が測れていない。検査官はパニックになって、5分どころか今日中に終わりそうにないと泣いている。さてどうしたらよいか。発車前に写真を撮っておく。巻き尺も一緒に写しておいて、後でゆっくり直径を測ればよい。直径を測るという機能に、コピーを作るという機能を加えてやればよい、これは検出と判断の時間分離とも言えよう。(参考文献:中尾政之、畑村洋太郎、服部和隆「設計のナレッジマネジメント」日刊工業新聞社)


図 あと5分しかない

【思考演算の説明】
 機能を2つに分けて別々の時間に行う(機能分割・時間分離)ことが、有効な例である。
 「事前にやっておく」とか「対立する要求を時間で分離する」などの方法である。つまり、問題解決に詰まったとき、1つの要求機能と思っていたものを2つに分割して、または、もう1つ副次的な機能を加えて、その2つを時間的に分離して実行する手段を考えるのである。いってみればタイムシェアリングである。要求機能が1つであると思いこむのが心理的惰性である。それを分析して、2つに分割できれば、問題解決はもう半分解決したようなものである。