ガラスに回折格子用の3角形の溝を転写させることを考える。方法としては、図の(a)に示すように、露光量を徐々に変えられるマスクでリソグラフィした後でエッチングすること、または図(b)のように切削で凹凸を作った耐熱金型で高温プレスすることが考えられるが、いずれもマスクや金型が高価で量産向きではない。そこで図(c)に示すように、ガラスの上にプラスチックをスピンコートで薄く塗布し、そのプラスチック膜を第3物質として用意した。それに切削で凹凸に作った一般金型で低温プレスして3角形の凹凸を転写し、次にその上から異方的に削れるガスでエッチングする。するとプラスチック膜の薄いところはすぐにエッチングされて引き続きガラスが削られ、最終的にはガラスの表面にも3角形の凹凸が転写される。この方法はリソグラフィや耐熱金型を使わないので、回折格子だけでなく、液晶モニタの反射面や、マイクロレンズアレイなどを安価に量産できる。(参考文献:中尾政之、畑村洋太郎、服部和隆「設計のナレッジマネジメント」日刊工業新聞社)


図 3角形の溝を転写する

【思考演算の説明】
 第3物質を用意することで、もとの第1機能を満足させる機構群が構成できる。この例では、第3物質としてプラスチックを用意することで、溝を転写する機能が満足できた。