図の(a)はプレス機の“等変位線”・力線を示したものである。押したポンチ・ダイスの部分には等変位線が詰まっているので圧縮歪みが、構造体のコラムの部分には等変位線が離れているので引張歪みが、それぞれ働いている。実際のプレス機には単純引張や単純圧縮だけでなく、曲げモーメントが生じるので、図(b)に示すように、コラム内側の隅には力線が集中し、表面に引張歪みが働く。図(c)には、ボルトで板を締結したときの力線を示した。ねじ部分を長くとっても、力が流れるのは高々3山である。力線はボルトの下の部分には通らない。板を鋼からアルミニウムに変えると、図(d)に示すように、ボルトの座のところが変形し、穴の近傍に力線が集中する。(参考文献:中尾政之、畑村洋太郎、服部和隆「設計のナレッジマネジメント」日刊工業新聞社)


図 プレス機とボルトの力の流れ

【思考演算の説明】
 工学では、流線が見えれば、力も熱も水も電気も磁気も同じアナロジで流れが理解できる。なお、等ポテンシャル線は流線と直交している。ポテンシャルは、重力では高さ、変形力では変位、熱では温度、水では水位、電気では電位、磁気では磁位である。等ポテンシャル線・流線は簡単に物理現象を説明しやすい手法である。