摺動試験で生じるヘッドの摩擦力と押付力とを測る例を考える。単位構造は図1のような平行平板構造である。図2に2軸力センサの組み合わせ方法を述べる。最初に、2軸のうち、どちらをヘッドに近づいた位置に配するかである。(a)でも(b)でも直列に並べたから、力が通れば押付力・摩擦力のいずれも(a)(b)で同じはずである。しかし、モーメントが及ぼす干渉成分は力点から遠くなるほど大きくなるので、摩擦係数が1以下だったら、小さい方の摩擦力を測る構造をヘッドに近くに配した(a)の方が、感度が高くなって好ましい。次に、押付力を測る構造がモーメントによってねじれなくしたい。それには、(c)のように幅を広くするか、(d)のように前後に2つの単位構造を付ければよい。(d)では歪ゲージを単位構造の両方に貼って足し算すれば、モーメントによる干渉成分をうまく相殺できる。また、押付力をヘッドから離れた上部の位置から押すと、摩擦力によってヘッドの頭が沈むように変形しやすくなるから、できるだけ下部の位置で押したい。(e)のように剛体部を折り返せば下部から押せる。なお、(c)から(e)までは摩擦力を測る平行平板に注目すると、過度の押付力が働くと平行平板に圧縮応力が生じ、座屈が起こりやすい構造であることがわかる。そこで、(f)のように構造を折り返すと、摩擦力を測る平行平板に引張応力が生じるようになる。(参考文献:中尾政之、畑村洋太郎、服部和隆「設計のナレッマネジジメント」日刊工業新聞社)


図 1.単位構造(平行平板構造)


図 2.単位構造の加算の例(2軸力センサ)

【思考演算の説明】
 思考演算で四則演算のうち、もっとも簡単なのは加算である。上記はA+B=B+Aという順番を変えても機能は同じ(だが、効率や性能が異なる)例である。