静的に安定な機械の場合、力線図は必ず機械の中で閉じていなければならない。また機械の変形はその大半が機械に働く曲げモーメントによるため、曲げモーメントの分布(モーメント線図)を描いて構造的バランスを向上させる。さらにクレーンなどの大型の荷役機械で、可動範囲と荷物による負荷とを考慮に入れて、重心が常にアウトリガ(作業時に車両を支える足)の作る多角形の内側に存在するように設計しなければならない。さもないと作業時に車両が転倒する。


図 力線が閉じているか

 これはプレス機械の構造を表しており、左の図では力線が閉じているのに対し、右側は閉じていない。後者の構造で中央の工作物に力を加える場合、外側のフレームの自重の大きさ以下の力は加えることができるが、それ以上になるとフレームが上に持ち上げられてしまい、プレスどころでなくなる。フレームの足をアンカーボルトで床に固定すれば、ボルトの引張強度までは発生力をあげることができる。


図 モーメント線図とそれによる変形

 機械部品の変形は、大半が曲げモーメントによって生じ、せん断力、引張・圧縮力による変形は極めてわずかである。したがって機械の変形は、曲げモーメントの分布図(モーメント線図)を描くとわかる場合が多い。基本的な設計方針として、モーメントの作用が大きいところは部材を太くし、小さいところは細くするとよい。


図 クレーン車の安定姿勢