従来のブレーキシステムでは、システムレバー比は車両重量に応じて、ペダル踏み込み初めから終わりまで一定であった。ブレーキシステムのレバー比とは、図1のように、ペダル比および油圧シリンダ面積比で踏力を増加させる比率で、Rp・Aw/Am で表される。ここで、Aw:キャリパのシリンダ面積、Rp:ペダル比、Am:マスタシリンダの面積、である。さらに、ブレーキ踏力はシステムレバー比とブレーキブースタ助成力で強められ、タイヤとともに回転するブレーキディスクを挟む荷重を発生する。RVやSUVと呼ばれるレジャー用自動車では、車両重量が大きく、ブレーキの効きを確保するには、システムレバー比を大きくする必要がある。すると、ブレーキストロークが大きくなり、乗用車と同様のフィーリングを得ることができなくなる。そこで図2のように、ブレーキペダルリンクをダブルリンク式にすることで、ペダル踏み込みでリンクが回転し、作用角の変化でシステムレバー比が変化する。図3に、その特性を示す。ブレーキ常用域ではレバー比を大きくし、ブレーキの効きを高め、さらに効きが高い領域では、徐々にレバー比を低くすることで剛性感を与え、アイドルストロークではレバー比を押さえた。このようにして、ブレーキの効きと踏み込みのフィーリングの両方を向上できた。


図 1.ブレーキシステム概念図(従来)


図 2.ダブルリンク可変ペダル概念図


図 3.ブレーキペダル比の変化特性

【思考演算の説明】
  従来のブレーキペダルに、単にリンクを追加することで、レバー比を可変にできた。