ロッドのシールとして、摩擦係数を小さく、かつ気密性を保つため、テフロンのリングを使用した。機械を稼動させたところ、しばらくして、ロッドの動きが悪くなった。低温時に加工されたテフロンが、油温の上昇で大きく熱膨張し、外径とのクリアランスが無くなったことが原因であった。参考資料:伊藤公正:プラスチックハンドブック、P54工業調査会編


図 各種材料の線熱膨張係数

 有機材料の線膨張係数は金属に比べて、約1桁大きい。

【設計のアドバイス】
 テフロンのような線膨張係数が大きい材料を使うときは、シリカ粉末・ガラス繊維などを充填したり、補強材として樹脂に混合したりして、熱膨張係数を下げることができる(ただし、摺動部の場合、シリカ粉末やガラス繊維などの混合は、相手を摩耗させることがある)。その他、金属と樹脂の間に柔らかい緩衝層を入れたり、長さや厚さを小さくし寸法変化を小さくしたり、バカ穴を作るなどで、クリアランスを適切に保つことが重要である。