スポット溶接部を強化するため片方の板を厚くしたが、実際には強度がアップしなかった。スポット溶接のナゲット(点溶接部)は、重ねた板の接触面でなく、重ねた板厚のほぼ中央にできる(図1)。熱伝導から考えれば、接触面の熱抵抗が大きいのでそこでナゲットが生じそうだが、実際は、加圧して一体化したものに電流が流れていると考えて、発熱密度からナゲットの位置を予測すべきであった。したがって、図1のように、片方の板厚だけを増しても、ナゲットは中央に生じてしまい、接触面では中央からずれて接合面積は小さくなってしまい、かえって強度が低下する。


図 1.片方の板を厚くした時のナゲットの形成


図 2.スポット溶接の概要

【設計のアドバイス】
 スポット溶接は、点溶接ともいわれる。図2のように、重ね合わせた母材を両側から棒状の電極ではさみ、通電と加圧の操作を組み合わせて、母材接触面に溶融凝固した部分(ナゲットと呼ばれる)を作って接合する溶接方法である。(参考文献:「機械工学辞典」朝倉書店)