1982年2月、アフリカのジャングルで稼働している大形ブルドーザで火災事故が発生した。原因は、排気マフラーに進入した雨水を排水するための水抜きドレーンチューブを通り、高温の排気ガスと灼熱したすすカーボンが、連続的にエンジン下部のアンダーカバー部に送気されたことによる。アンダーカバー上にたまった枯れ葉や小枝がその排気ガスによって熱せられて発火し、それが燃料ホースに燃え移り、流出した燃料に火がつき車両を半焼した。対策として、(1)排気にレインキャップを装着して、水抜きドレーンチューブを必要なくして、火源の伝導をカットした。(2)枯れ葉のエンジンルーム内への進入を防止するため、アンダーカバーとの隙間を少なくして、可燃物そのものをカットした。(3)燃料ホースは難燃性の石綿巻きを用い、仮に燃えても難燃性を高めた。


図 火災を起こしたブルドーザのエンジン


図 レインキャップ

【設計のアドバイス】
 火源と可燃物とを遮断することが火災防止の基本である。それが出来ない場合は、可燃物を不燃物もしくは難燃性のものに変える。本事例の対策では、アンダーカバーとの隙間を少なくしたが、小さなゴミやほこりのようなものはいずれもたまる。それらはエンジンに近いので、いずれにしても火災発生の危険は消えない。かえってすきまを広げて吹きとばしたり、冷やしたりする効果をねらう方がよいのかもしれない。