プレス成形品の強度を検討する時、成形過程で生じた残留応力を見落としたので、隅のRを大きくしたりして形状を変更した後でも十分な疲労強度が得られなかった。


図 プレス成形品に疲労亀裂(疲れ破壊)が生じた

 試作品を試験すると、図で示したところに疲労亀裂(疲れ破壊)が生じた。そこで、FEM解析をして応力が緩和するように形状を変更したが、その後、再び確認試験をしても十分な効果が得られなかった。結局、プレス成形工程で疲労亀裂が生じたところに大きな引張残留応力が生じており、それは形状を変更して低下させた応力より大きかった。


図 Goodman線図(疲れ限度線図)

 疲労強度に対する平均応力の影響は通常、Goodman線図で予測することができる。図に示すように、縦軸に応力振幅、横軸に平均応力をとり、疲労破壊するか否かを線図上で読み取ることができる。この事例の場合、成形によって引張残留応力が生じやすい形状であることをデザインレビューで気付いていれば、Goodman線図を用いて疲労強度が予測できた。すなわち、試験時の応力振幅σaがFEM解析でわかっているのだから、疲労強度限界線上の平均応力σmが求められ、残留応力がσmより小さかったら壊れないし、大きかったら壊れる。