重量物の搬送設備を設計したが、荷重を受けるための車輪と、静止位置精度を向上させるためのピニオンとを、直径が少し異なるにもかかわらず、同軸に取り付けてしまった。つまり、車輪がピニオンより直径が大きいので、外周端の周速が大きくなるが、ピニオンとラックはすべらないので常に車輪とレールとの間ですべりが生じていた。しかし、加減速の時に、車輪に大きな密着力が働くので、車輪とピニオンとの間の車軸にねじり応力が働いた。その上、車軸は段付き部分のギリギリまでキー溝が切ってあったため、最後には応力が集中するキー溝部から車軸が破断してしまった。


図 折損した車軸

 対策として、2本の車輪にとりつけた4輪を従輪として別個に作って自重を支え、駆動輪にはピニオンだけをつけてラックレールに駆動力を伝達した。つまり、車軸1本で、駆動力伝達と自重保持との2つの機能を行わせたのが問題であった。

【思考演算の説明】
 駆動力伝達と自重保持とに機能を分離して、ひとつごとにピニオンと車輪の機構を当てて、干渉設計を防ぐ。