部品の座に部品の軸を圧入し、生じたカエリで両者を固定した。ところが、硬度Hv350以上と書いて設計したので、熱処理後のベリリウム銅がHv420と硬くなりすぎた。その結果、カエリが脆化して脱落し、通常の1/6と小さな力で軸が抜けてしまった。対策として、Hv350±50に管理して硬化しすぎないようにした。


図 ベリリウム銅が脆化してカエリが脱落

【設計のアドバイス】
 機械設計で使う金属材料は、大方硬くなれば脆くなる。鋼の熱処理でも焼入(やきいれ、硬くなる)と焼戻(やきもどし、柔らかくなるがその分ねばりが生じる)とをペアにして、硬さと脆さでバランスのとれた材質を作る。
 ベリリウム銅(銅+ベリリウム+わずかなCoNiPbBなど)は時効硬化で硬くなり、リン青銅(銅+すず+わずかなP)は折出硬化で硬くなる。