被膜アーク溶接棒のフラックスは、多孔質で水分を吸着しやすい。溶接棒が吸湿すると、アーク力が強くなり、スラグ被りが悪化し、スパッタが増加する結果、溶接作業性が低下する。また、溶接金属中の水素量が増加して割れが発生したり、ブローホール、ビットなどの欠陥の原因となる。特に高張力鋼の溶接では有害である。乾燥機での保管が必要で、表に被覆系溶接棒の乾燥条件を示す。参考文献:「接合・溶接技術Q&A1000」産業技術サービスセンター


表 標準乾燥条件(軟鋼、高張力鋼、低合金鋼用溶接棒)

【設計のアドバイス】
 いったん乾燥した溶接棒でも大気に放置すると再び吸湿するため、高張力鋼等に使う低水素系溶接棒は、乾燥後溶接現場には携帯用の乾燥機に入れて持ち運び、2〜4時間以内に使用する。