タフピッチ銅には酸素が含まれており、水素を含む雰囲気中で加熱すると、次の反応式で蒸気を生成する。Cu2O + H2 → 2Cu + H2O 生成水蒸気は内部圧となり、気孔が発生し、粒界付近での金属の割れを促進する。図はタフピッチ銅の水素脆化試験前後の比較である。参考資料:金属便覧(日本金属学会編)


図 水素脆化試験前後の顕微鏡写真


図 酸素アセチレン炎

【設計のアドバイス】
 水素または水素を含むガス雰囲気で焼鈍しない。(特に温度400℃以上、水素量0.3%以上、銅の酸素量0.03%以上の場合)また、酸素アセチレン炎加熱は、図のように水素を発生するので、芯炎や還元炎での使用を避ける。その他、ロー付け時のフラックスも水素発生の一因となるので注意する。