2本以上のボルトを用いた締結構造では、全てのボルトが有効に働いているとは限らない。被締結物の剛性が低いと、負荷が全てのボルトに分散されずに、負荷に一番近いボルトに負荷が集中することがある。図1の締結構造で、被締付け物の剛性が低い(たとえば薄板を用いた)場合は、No.1のボルトに力が集中する。したがって、複数のボルトを用いた締結構造では、被締付け物の剛性の確保と、図2のように、負荷位置に対してボルトを均等に配置することが重要である。(参考文献:「ねじ締結概論」酒井智次著 養賢堂)
図1はモーメントが働いて被締体物をはがす場合を想定するとわかりやすい。手前からボルトが抜けていく。
【設計のアドバイス】
複数ボルトの締結構造で、全ボルト本数に対して、有効に作用している本数を本数効率という。設計時に、ボルトの不均一な荷重分布を考慮せずに、本数効率が低い、ギリギリの設計をすると、負荷の集中するボルトのところでの安全率が1を切ることになる。
【思考演算の説明】
No.1のボルトがNo.1とNo.2の間の被締付物より剛だと、被締付物の右から流れてきた力はNo.1のボルトを介して下の構造物に流れる。