図1のような、クッションゴム製のシャフトを、エアシリンダ駆動のクランプで把持する装置を設計した。ここではクランプの終点位置をセンサで検出してクランプの完了と考え、次の動作に移っていた。ところが、把持せずに、次の動作に移る不具合が発生した。シャフトのクッションゴムが摩耗し、小径化して終点位置に至っても把持しなかったためである。対策として、図2のように、クランプが始点センサ位置を通過後、一定の時間(タイマ設定)が経ったら、把持したはずだから、次の動作に移るようにした。


図 1.シャフト把持装置(対策前)


図 2.シャフト把持装置(対策後)

 この時、実は、終点センサは摩耗限度検出に用いている。

【設計のアドバイス】
 シーケンス制御で運転する場合、本例のように、把持したかを確かめるため、シリンダの終点の信号を使うことが多い。しかし実際は把持した信号ではない。本例では把持装置に接触や圧力のセンサでも組み込み、把持したことを直接、検出すべきであろう。本例の対策も姑息であり、もし途中でエアシリンダのエア圧力が変動したら、ある時間を経過しても把持できないことになる。

【思考演算の説明】
 これは前の工程終了をチェックしながら並列に行っていた処理を、2つの工程を同時に直列にスタートさせた例である。もちろん、ひとつをタイマーで繰り下げスタートさせた方が、一般に直列の方がうまくいかなくなることが多い。