金属材料は、表のように、各種の使用環境下で腐食する。腐食は金属材料中のミクロな経路で進行し、応力(とくに引張応力、また残留応力も含む)が加わり、破損に至る。図はステンレス(SUS304)の応力腐食割れ組織である。この割れは機械的現象と、電気化学現象の相互作用の結果生じる遅れ破壊的な割れである。参考資料:(1)腐食化学と防食技術(コロナ社)


表 各種金属の腐食環境条件

 アンモニア中での黄銅のSCC(応力腐食割れ),塩化物水溶液中でのオーステナイト,ステンレス銅やAl合金のSCC,アルカリ水溶液中でのアルカリ脆性が代表的である。


図 SUS304の応力腐食割れ組織(×100)

 粒界腐食(結晶粒界にクロム(Cr)が析出する影響で、周囲が析出元素の不足となり、集中的に腐食が進む)の場合、応力が加わると、粒界割れとなる。

【設計のアドバイス】
 応力腐食割れ(SCC)の対策として、負荷応力を下げたり、切り欠き部をなくし応力集中を避けたり、冷間加工後の焼鈍しによる応力除去などがある。