回転圧縮機の大形化や地球環境保護のために、冷媒の変更が必要となった。使用する冷媒を変更すると、同じ冷凍能力を保つためには、圧縮機の圧縮圧力を高くせざるを得ない。
 この結果、ベーン軸受部の潤滑油の油膜が破れて、軸受部や摺動部の接触状態が厳しくなり、摩耗量が増加し、信頼性が低下した。


図 回転圧縮機(ベーンタイプ)の構造


図 摩耗量低減のための検討項目

 摩耗量低減のためには、図のように、軸受や摺動部の油膜厚さ、片当り防止、摩擦係数低減、硬度確保、等を検討する。なお、ゾンマーフェルト数とはジャーナル軸受の性能を決定する無次元数で(潤滑油粘度×軸回転数)/{軸受平均圧力×(軸半径/半径すきま}で示される。

【設計のアドバイス】
 潤滑油が作動気体と分離していないために、本例のように冷媒と潤滑が問題になるような話は、ガソリンと潤滑(エンジンの場合)、真空と潤滑(真空ポンプの場合)、空気と潤滑(エアシリンダの場合)のように、あちこちで論じられている。