ナットの回転緩みがなくとも、締結座面にヘタリがあると締結力は低減する。塑性変形は座面均一に進行することは少なく、大体は、一部分を削るように進み、そこに応力が集中する。そこが後で何かの拍子ですべるとボルトは緩んでしまう。そこで、座面の陥没が生じないように、座面圧を許容面圧を以下にする。


図 座面圧を検討する部位

 締結力は、ボルトの弾性伸びに比例する。しかし、仮に、座面が陥没するとその分だけ弾性変形量が減少して、締結力が低下する。そこで、座面陥没を防ぐために座面圧を許容面圧以下に押さえる必要がある。許容面圧(限界面圧とも呼ぶ)は材料の加工硬化によって変形がもはや進行しない程度の座面圧である(下表)。試用材料の許容面圧を実験で求めて、設計では座面圧が許容値を超えないように、座面面積を確保することが重要である。


表 各種材料に対する許容面圧(Junkerの値)と陥没の深さ(山本、ネジ締結の理論と計算、養賢堂、p91)