アーク溶接構造物では、荷重がビード縁部を剥離させる方向に作用する構造を避け、剪断させる方向に働く構造に設計する。


図 剥離負荷構造から剪断負荷構造へ(車両用牽引フックの例)

 図(a)のように溶接ビードに剥離荷重(モーメント)が作用するような構造を採用すると、溶接面の面外曲げ変形を生じ、ビード縁部に曲げ応力が集中する。これによって、早期に溶接ビードに沿って疲労亀裂が生じる。図(b)のように剪断荷重として荷重を伝達する構造を採用する。

【設計のアドバイス】
 ねじ締結構造部では、荷重によってボルトの軸力が変化しないように、そしてボルトに剪断力が働かないように設計する。


図 ボルトで板を締結する方法

 4つの図の中で最も一般的な締結方法は図(c)である。橋やビルのリブの締結で用いられる。荷重はA面の摩擦で保持する。しかし、A面のどちらかが粗面で少しでも動くと、ボルトに剪断力が働き、小さな力で切れてしまう。そのような時は図(d)のようにひっかけをつけておくとよい。図(a)は荷重によってボルトの軸力が増加する場合、図(b)は逆に減少する場合である。どちらもあまり好ましくなく、図(a)は最後はボルトに荷重のすべてがかかり破断し、図(b)はボルトがゆるみ回って欠落する。