失敗百選 〜石油ファンヒータが不完全燃焼(1985)〜

【事例発生日付】2002年10月1日

【事例発生場所】茨城県潮来市

【事例概要】
三洋電機製石油ファンヒータで、空気取入口にホコリ等がたまり換気不足の際、不完全燃焼を起こし、CO中毒事故が発生。 18件、死者4人、中毒被害41人を出した。製品発売後の最初の冬にファンヒータが事故を起こした事実をつかんだが、経営 トップまで伝わらず、欠陥製品の消費者への告知、補修・回収等その後の企業対応が後手にまわり被害が拡大した。
<Techno Failure-不完全燃焼の原因>
空気取入口の設計ミス。背面空気取入口がホコリがたまりやすい構造、換気不足の際、燃焼不良となる。 製品がどんな環境でどのように使用されるのか熟知していなかった。→ 学習不足、制約条件抜け
【対処・対策】
全品回収・交換。
通産省は石油燃焼器具専門委員会を設置。不完全燃焼してCOが異常発生した場合、燃焼を中断する装置の取り付けを 義務付け。換気をうながす明確な表示の実施。
消費者問題担当部門と経営トップと直結した組織。製品購入者リスト整備。

【一般化】
製品がどんな環境でどのように使用されるか、あらゆる可能性の条件を課題設定に必ず入れる。

消費者問題等品質に関するすべての情報を共有共用する組織システムの構築。情報は経由する部署が多ければ多いほど時間がかかり変質する。組織を飛び越えて伝わる機動性が必要→ 消費者問題の基本

情報断絶。経営に打撃を与える悪い情報は経営トップには伝わらない。(特に減点主義で運営されがちな企業において)情報断絶を防ぐ企業組織作りが重要。現場責任者が悪い情報を素直に経営トップに上げることができる組織。
<Socio Failure-CO中毒被害の拡大>
社内でファンヒータが事故を起こした事実をつかみ、その危険性について認識があったが、この情報が経営トップ に伝わらず、現場ないしはトップの手前の段階で処理しようとして有効な手が打てず欠陥製品の消費者への告知・ 補修・回収等その後の企業対応が後手にまわり、被害が拡大した。→ 情報不伝達
【背景】
リコールによる企業イメージの低下を恐れる強い意識がメーカーにある。商品の流通ルートの多様化、製品購入者 追跡困難、告知、回収に時間がかかった。ワンマン社長?

以上