【事例発生日付】1999年12月8日 【事例発生場所】神奈川県横浜市 【事例概要】 横浜市内の中学校で、教室内で数人の生徒がおもちゃのレーザーポインターを振り回しているうちに、 顔に向けてしまった。光を受けた3人は、視力低下を起こした。レーザー製品の光線出力が大きく、 また、目に照射すると危険だということを知らなかった。 【事象】 横浜市内の中学校で、教室内で数人の生徒がおもちゃのレーザーポインターを振り回しているうちに、顔に向けてしまった。 光を受けた3人は、視力低下を起こした。 |
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【経過】 1999年12月8日、消費者生活センターに、横浜市内の中学生の保護者から、「教室内で数人の生徒が、おもちゃの レーザーポインターを振り回しているうち、顔に向けてしまった。光を受けた3人は、視力低下を起こした」とい う事故内容の報告とともに、「警告は英語で書かれており、子供には読解不可能。子供が簡単に手に入れられるこ と自体、問題ではないのか」と、指摘があった。3人は眼科で「通院が必要」と診断されたが、その後、点眼液で 視力は回復したという。 また、2000年9月19日にも、同様の事故が発生している。ゲームセンターの景品で貰った レーザーポインターを使用した際、赤い光が流し台のステンレス板に反射し、目に入ったため、2時間後に目が痛くなった。 やはり、事故品は製造業者不明で注意表示等は外国語表示であったという。 |
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【原因】 1.レーザーポイントがおもちゃに転用された・・・・・使用環境変化への対応不足 潜在的に目に当てると危険なレーザーポイントを子供という使用方法が徹底しにくい おもちゃに転用された。 2.「容易に子供たちが入手できた・・・・・事前検討不足 店頭のカプセル玩具(通称「ガチャガチャ」)、通販などで、安価(100円〜)で容易に子供たちが入手でき、しかも外国製のため日本語表示で危険性や注意表示がなかった。 3.規制の対象外・・・・・安全意識不良 レーザーポインターも含め、電池駆動のため電気用品取締法の規制も受けず、表示も任意で、法的な強制力もなかった。 |
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【対処】 国民生活センターでは、1997年から同様の事故が14件報告されていることから、実態を調査し、消費者へのアドバイス (子供に買わせない、与えない、レーザー光線は直視しない等)、行政への要望(本体への注意・警告表示貼付の徹底 指導)、および業界への要望(遊び道具としての販売に対する問題提起および販売方法の改善、国内販売のレーザーポ インターへのJISのクラス表示徹底および日本語での警告表示の実施)を行なった。(2000年11月6日) 経済産業省は、2000年12月15日、製造業者、販売事業者に対して、危険を伴うレーザーポインター等の販売の自粛を要 請するとともに、文部省経由で小中学校および児童・生徒の父兄に対して、レーザーポインター等の管理等の注意喚起を要請した。 |
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【対策】 経済産業省は2000年1月26日以下の対応を発表、施行を1月31日とした。 @ 規制対象としての追加(消費生活用製品安全法施行令の改正) ・ 製造・輸入事業者は、技術上の基準(下記)に適合することを義務付ける。 ・ 第三者検査機関の検査で所定マークの貼付を義務付ける。 A 技術上の基準を定めた。 ・ 会議等での文具専用と認められる製品はクラス2およびクラス1以下とする。 ・ 玩具用途は長時間目に当てても安全が確保されるレベル(クラス1)以下とする。 B 今後の対応 政令の公布・施行後直ちに関係事業者や小中学校等への周知徹底を図る(パンフレットの配布など)とともに、都道府県と緊密に連携して、厳正な法執行を行う。 |
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【背景】 1997年〜2000年10月20日現在、レーザーポインターの光線が目に当たって網膜損傷や視力障害などの報告が14件なされた (2000年4件以上、国民生活センターによる)。 レーザーポインターは、ペンライトやピストル、キーホルダーの形をした玩具として一個100〜300円前後の低価格品が普及、 日本語の危険表示がない輸入品がカプセルがん具やクレーン型ゲーム機の景品などとして出回っており、製造段階での規制は 困難であった。そして、電池駆動のため電気用品取締法の規制外であり、JISによる安全基準も任意表示だった。 また、1997年プロ野球の試合中に投手がネット裏から目にレーザー光を受け、「捕手のサインが見にくくなった」と降板した 事件で話題になったこともある。 |
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【知識化】 @ 技術の転用は新たなリスクを生み出す危険性がある。・・・・・仮想演習不足 大人が使う事務用品からおもちゃに転用されたため、事故が発生した。子供が使う という観点での検討が必要であった。 A 低電圧が安全とは限らない。 レーザーポインターは電池駆動であり、電気用品取締法の規制対象でなかった。 しかし、この光は一定の波長の連続した光で、目に入ると、網膜上に非常にシャープに集光するため、太陽光の100倍ほどの刺激を与えるほど危険である。 B 使用方法を守らせるには限度がある。 海外製品のため日本語表示がなかったが、今後インターネットでの購入などで、ますます使用法の徹底が困難になってくる。 |
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【総括】 レーザーポインターは、会議や講演会などで指示棒のかわりに用いることを想定して開発された、レーザー光を発する 小型機器である。日本では、すべてのレーザー製品はJIS規格で安全基準が定められている。光線の強さによって5段階 (注)に分けられ、レーザーポインタは、通常「クラス2」で比較的出力は弱いが、「ビームをのぞきこまないこと」 「直接目に当てないこと」など使用上の注意書きがされている。 しかし、レーザーポインターは、電池駆動のため電気用品取締法の規制も受けず、表示も任意で、法的な強制力もない。 今回の事故は、潜在的に危険をはらむ製品が、おもちゃに転用されて、取扱い注意の徹底が困難な子供たちが使って発生した。 また、それらのおもちゃが店頭のカプセル玩具(通称「ガチャガチャ」)、通販やインターネットで容易に子供たちの手に 入ること(しかも外国製)も見逃せない。
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