【事例発生日付】1998年12月20日 【事例発生場所】大分県別府市 【事例概要】 「城島後楽園ゆうえんち」で逆バンジー「スカイショット」のゴムとワイヤの結合部分が外れ、イスが鉄塔に激突した。 結合部分の安全ピンのロックピンが外れたためであった。2人が重軽傷を負った。 【事象】 「城島後楽園ゆうえんち」で逆バンジー「スカイショット」のゴムとワイヤの結合部分が外れ、イスが鉄塔に激突した。 2人が重軽傷を負った。 |
【経過】 1997年9月まで、逆バンジー遊具「スカイショット」を使っていた京都の 「ふれあいスポーツDAIGO」では、ゴムとワイヤを結合する留め具について、当初米国でのやり方に従い、先端が二又の 「割ピン」をナットに差込み二又を折り返してボルトに巻き付けて固定していた。しかし、毎日の取り外しに時間がかか る上、何度も繰り返して使用できないため、大分市の遊具設置会社「アドホック」社に依頼して他の遊具の車輪止めに使 用していた安全ピンタイプのロックピン(直径約2mm長さ約6cm、)を使用するようになった。 1997年10月10日、城島後楽園ゆうえんちに、同「スカイショット」を中古で購入し導入した。 12月18日、逆バンジー遊具「スカイショット」のワイヤやゴム部分を、マニュアルに従い、 500回使用したため交換。ゴムとワイヤを結合する留め具の交換はしていなかった。 留め具は、管理マニュアルに従って、毎日の営業終了後、管理会社の社員がロックピンを抜いて ナットを緩めて外し、ゴムをバンジーの座席にしまっていた。 20日(日)、「スカイショット」を稼動前に点検(点検は1日3回)。 13:40頃、「スカイショット」が2回目に上がる途中、左側のゴムとワイヤを結合する 留め具の、ボルト先端のナット固定のため差し込まれていた安全ピンタイプのロックピンが外れてナットが緩み、ゴムとワ イヤが空中で外れ、座席が振られて右側の鉄塔の地上から約5m付近に激突した後、コンクリートの地面に落下。2人が重軽 傷を負った。 |
【原因】 1.安全ピンタイプのロックピンが外れた なぜロックピンが外れたかは不明である。 営業終了後、毎日ロックピンを抜いていたということは、営業開始時にロックピンがしっかり入っていなかった可能性も 考えられるが真相はわからない。 2.ゴムとワイヤを結合する留め具を変更していた オリジナルの割りピンタイプから安全ピンタイプに変更していた。 |
【対処】 別府警察署と福岡県警が実況検分および事故調査実施。 県警科学研究所で現場で見つかった部品の鑑定を行い、ピンやナットが弛んだ原因を推定した。 遊園地は、21日に続き22日も臨時休園とし、設備を点検した。 |
【対策】 城島後楽園ゆうえんちは事故を起こした「スカイショット」を廃止することに決めた。 |
【背景】 バンジージャンプは飛び降りるもの。これを全く逆に、地面から垂直に急発進させるのが「逆バンジー」。日本にあるものは すべて同じタイプのようで、発信後の到達点は31m、最高速度は75km/h、上昇時の最高Gは3.2G。椅子に腰掛けて空中に飛び 出すスリルで人気を博していた。 逆バンジーは、1996年に京都府の施設でワイヤが支柱に絡まり、ゴンドラが一時宙づりになったほかに事故は起きていなかった。 国内では、別府のほかに5ヶ所のレジャー施設にあったが、事故当時、宮城と新潟の施設は冬季休業中であった。 |
【知識化】 @ 変更するときはメリット面のみでなく、デメリット特に危険性を十分検討する。 A 変更には、危険が伴う。長い実績は最大の実証試験?である。時には「技術の封印」も必要である。 B 作業の容易さは、安全意識の低下にもなる。(慣れによる意識の低下) |
【総括】 米国のオリジナル部品を変更して起こった事故である。割りピンを二又に折り返してボルトに巻き付ける面倒さと割り ピンの交換不要という理由で変更していたが、変更のメリットのみを考えデメリットを見逃していたのではなかろうか。 また、分解組立を容易にしすぎたことで組立時の注意散漫になっていた可能性もある。 以上 |